きっと役に立つお金の話4 主婦必見!損にならないパート収入はいくら?(2018年配偶者控除改正)

皆さん、こんにちは。
今回は今年から改正になった配偶者控除及び配偶者特別控除の取り扱いの影響で、主婦のパートなどの収入の額によって、得するケース、損するケースなどについて書いてみたいと思います。
私のところにご相談にいらっしゃる方でも、主婦の方でもパートなどで働く方は多くいらっしゃいます。

いったいどのくらい働けば良いの?

何となく年間100万円くらいまでなら大丈夫なのかなあと思ってお仕事をしている方も多いですが、具体的にどのくらい働くと得したり、損したりするかという事は、かなり複雑ですので個々の状況によって異なります。

2018年の改正点

まず、今回の改正点について見てみます。
・これまでは夫の収入に関係なく、収入が103万円以下なら全員が配偶者控除を受けることが出来たが、改正により高収入の夫がいる方は配偶者控除を受けることが出来なくなった。(高額所得者にとって増税)
・配偶者控除(配偶者特別控除)が適用される妻の年収がこれまでは141万円以下だったところが、201万円以下までに拡大した。(減税)

上記の2点が大きく変更された部分になります。
パート収入に対する所得税や住民税、社会保険制度は変更が無いので、人によって得する範囲、損する範囲がかなり複雑になってくるかと思います。

いくつも存在する『壁』とは?

よくパート収入の話になると、『○○万円の壁』という言葉が出てきます。
今回お伝えするお話の中でも、いくつも壁が有ります。
この『○○万円の壁』も何か一つの基準に当てはめて、段階的にいくつか壁があるというものではなく、いろいろ異なる対象や基準によって壁が存在するため、分かりにくい制度になっています。

『100万円、103万円の壁』

まず100万円を超えたところで、妻に住民税が発生します。
100万円-65万円(給与所得控除)=35万円
住民税は扶養されている家族の場合は所得が35万円以下なら住民税は非課税になりますが、これを超えてくると住民税がかかるようになります。

次に103万円を超えたところで、妻のパート収入に所得税がかかるようになります。
103万円-65万円(給与所得控除)-38万円(基礎控除)=0円
なので、この金額を超えたところから課税所得が発生するため、所得税がかかるようになります。
所得税については収入が増えた分以上に税金がかかる事はありませんので、基本的にはたくさん働いて、収入が増えれば増えた分だけ手取りは増える計算になります。

『106万円の壁』(重要)

実際の収入に影響が出てくるのは、この次の壁から影響が出てくる可能性があります。
『106万円の壁』です。
106万円の壁が関係してくるのは、パートで勤めている会社が501人以上の企業で1年以上、週20時間以上働く人が該当します。
この条件の方が、年収106万円(月収¥88,000)を超えると、夫の扶養から外れ、勤務先の社会保険に加入するか、自分で国民年金と国民健康保険に加入する必要が出てきます。
つまり、これまでは夫の扶養に入っていることで健康保険の負担はなく、年金も第3号被保険者という事で実質免除になっていたところを、自分で払わなければならなくなるため、それを支払うと手取り収入が減ってしまうという事になります。
例えば年収が110万円くらいだったとすると、手取り収入はだいたい90万円代前半位になりますので、106万円以内に抑えた場合よりも少なくなります。
手取りの金額だけで考えると損になりますが、社会保険に加入したことによって、病気などで仕事を長期で休んだ場合に「傷病手当金」がもらえたり、厚生年金に加入する事で老後の収入が増えたりする可能性もあるため、長い目で見ると必ずしもマイナスとは限らないところが難しいところです。
この条件に該当する方が手取り金額でもプラスにしようと考えた場合は125万円くらいからプラスになってきますので、手取り金額も増やしたい場合はここが目標になってくるかと思います。

『130万円の壁』(重要)

上記の条件に当てはまらない勤務先に勤める方の場合が該当するのが『130万円の壁』です。
年収130万円を超えた場合は前出の条件と同様に、自分で社会保険に加入するか、国民健康保険、国民年金に加入しなければならなくなります。
こちらに該当する方の場合は手取りでもプラスにしようとした場合は職場の社会保険に加入できる場合は153万円くらい、自分で国民健康保険、国民年金に加入しなければならない場合は170万円くらいからプラスになってきます。

ちなみに上記の2つの『106万円の壁』『130万円の壁』ですが、夫が会社員で厚生年金(もしくは共済年金)に加入していて、妻が扶養に入っているという場合に関係してきますが、もし夫が自営業などで、国民年金だという場合は、そもそも妻も国民年金になりますので、収入が増えたことによる負担の増加はありません。
基本的に国民年金よりも厚生年金の方が条件は良いですので、このように夫が自営業などの場合だと妻はむしろ働けるのなら積極的に働いて、自分で勤め先の社会保険に加入できるようならば加入した方が有利になります。もし職場の社会保険に加入出来なかったとしても、収入の増加によって負担する社会保険料は同じですので、より稼いだ方が手取りは増えるという事になります。

『150万円の壁』

次に『150万円の壁』です。
妻の年収が150万円を超えると「配偶者控除」の対象ではなくなります。ただし201万円までは「配偶者特別控除」があります。
ここに関しては実際には収入が増えるごとに、夫の収入から控除される金額が段階的に少なくなってくるだけですので、収入で増えた以上に大きく減るということはありませんので、あまり気にしなくても大丈夫かと思います。

『201万円の壁』

最後の壁は『201万円の壁』です。
正確には201万6千円以上になりますが、ここを超えてくると『配偶者特別控除』も無くなり扶養からは完全に外れることになります。
ただこの段階になってくると、基本的には収入が増えれば増えるだけ手取りもどんどん増えていきますので、問題は無いかと思います。

夫の収入によっても違いが

ここまで主婦の側の立場で、パートで働いた場合の控除や社会保険料負担などについて書いてきましたが、夫の収入と合わせた家庭全体の手取り収入は、夫の収入の金額よっても変わってきますので、その点は注意が必要です。
例えば夫の収入が年収400万円程度の場合は所得税率が5%で収まる人が多いと思いますが、年収が上がっていけば10%、20%~と上がっていきます。
つまり夫の収入が高い家庭の方が、妻が扶養を外れた場合の税負担は増えるということになります。
例えば38万円の配偶者控除が元々あった場合、所得税率5%の人の場合は、妻が扶養を外れると税負担は¥19,000増えますが、20%の人だとすると¥76,000税負担が増えます。

自分の状況を把握しましょう!

このようにそれぞれの家庭の収入や立場、加入している社会保険の種類など様々な要因が関係してくることが分かりますね。実際に正確に把握しようと思ったら、まずは自分のご家庭が、どの条件に該当するのか把握していただいて、そこから具体的に得になる収入金額、損になる収入金額などをシミュレーションしていく必要があります。
途中でも述べましたが、金額的にはその時は損になっているように見える場合でも、長い目で見て考えた場合には結果的には得になるという事もあると思います。
究極のところは、あまり細かいことは気にせず元気で働けるのであれば、とてもありがたいことですので、積極的に働いていただければ良いのではないかと思います。

2018年5月

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