これでバッチリ!確定拠出年金で押さえるポイント(基本編)

皆さん、こんにちは。
今回は最近話題になっている確定拠出年金の基本的な知識について、お話しします。
今年から個人型確定拠出年金の制度が新しくなって、主婦や公務員の方も、将来のために年金の積み立てが出来るようになりました。60歳未満の方は基本的に誰でも始められる制度になりましたが、実際には内容はそれなりに複雑で、よく分からないというご意見も多いです。

確定拠出年金は、ちゃんと運用出来れば、かなりメリットも多い制度ですので、これまで投資など全くやった事のない方でも、出来る限り分かりやすくお伝えできればと思います。

確定拠出年金って何?

まずは、基本的なことから書いていきます。
確定拠出年金は、基礎年金(1階)、厚生年金(2階)などの公的年金に上乗せして受け取ることが出来る年金(3階部分)の一つです。

確定拠出年金は平成13年より、新しい制度としてスタートしました。
会社で導入している企業型と自営業の方などが加入できる個人型が、当初よりありましたが、会社で企業型の制度がある方以外は、個人型に加入できるのは自営業者の方などに限られていましたので、会社員でお勤めの会社に制度が無い方や、主婦、公務員の方などは加入する事が出来ませんでしたが、今年1月よりこれまで対象ではなかった方も全員加入する事が出来るようになりました。

ここからは新しくなった個人型確定拠出年金を基準に書いていきますが、基本的には企業型に加入されている方でも同様になりますので、同じように理解していただいて問題ありません。

個人型確定拠出年金のメリット

個人型確定拠出年金は3つの大きなメリットがあります。

全額所得控除の対象

毎月拠出する掛け金は、全額所得控除の対象になります。例えば毎月¥23,000を拠出していった場合、年間で¥276,000積み立てることになりますが、この金額が全額お給料などから引いてくれるという事になります。所得税率が20%の方であれば、¥276,000の20%にあたる¥55,200の税金が少なくて済む計算になります。さらに所得税も10%で¥27,600の税金が軽減されますので、合計で¥82,800の節税になる計算です。この低金利の時代にこれは大きいですね。
所得控除については別の記事で詳しく書いていますので、ぜひご覧ください。

運用益が非課税

通常は金融商品で利益が出た場合は、利益に対して税金がかかります。(源泉分離課税20.315%)この税金が確定拠出年金の場合は0になります。
利益が出た分は再投資されます。

受け取る時にも税制優遇

将来、年金や一時金として受け取る場合は、課税の対象になりますが、受け取る際には、お勤めされていた方が、一時金で受け取る場合には、「退職所得控除」が受けられます。特に勤続年数が長いと控除額が大きくなりますので、ほとんど税金がかからない可能性も高いです。年金で受け取る際には「公的年金等控除」が受けられます。

以上の3つが大きなメリットになります。
人によって受けられるメリットも異なりますので、今の自分の状況を考えて、加入を検討されると良いと思います。
例えば専業主婦の場合は、そもそも収入が有りませんので、1の所得控除は使えません。この場合は、確定拠出年金ではなく、例えば2018年からスタートする積立NISAを活用した方が、他の部分でもメリットが多いかもしれません。

メリットに関しては、証券会社や銀行などの店頭などにも、ポスターが貼ってあったりしますし、今ならインターネットで調べると簡単に分かりますので、ここまでは理解されている方も多いかもしれません。

始める前に必ず知っておきたい大切なこと

次に始める前に押さえておかなければならない注意点について書いていきます。

60歳までは引き出せない

確定拠出年金は原則60歳になるまでは引き出しが出来ません。これは若い人にとっては意外と高いハードルかもしれません。20代の人で考えると、今預けたお金が、30年以上先まで引き出すことが出来ないというのは、よほど安定した職業に就いている方などでないとイメージしにくいと思います。

元本割れの可能性もある

60歳未満の方は誰でも出来て、公的年金の上乗せのような文句で募集しているので、なんとなく安定しているように思われるかもしれませんが、実際には運用商品の大部分は株や債券などの「投資信託」です。ですから、株式投資などと同じで、運用のやり方次第で大きく増やすことも可能ですが、運用に失敗すれば元本割れの可能性もあります。元本を保証する商品もありますが、全て元本保証の運用商品だけで運用した場合は、加入するメリットが少なくなるかもしれません。このことに関しては、この後でお話しします。

口座管理料などがかかる

口座管理手数料などがかかります。確定拠出年金は証券会社、銀行などの金融機関に確定拠出年金専用の口座を作って、そこで運用します。毎月の積立金から口座管理手数料などの費用が引かれていきます。手数料はその名の通り単なる手数料ですので、金融機関に払ったものは戻ってくることは有りませんので、単純に少しでも少ない方が良いです。
手数料だけで考えると、ネット証券が安いです。

選べる運用商品が金融機関によって違う

金融機関によって、扱っている運用商品の種類や数が異なります。
50以上の商品を扱っていて、幅広い選択肢がある金融機関もあれば、数種類の中で運用商品を選ばなくてはならない金融機関もあります。企業型でやっている場合は、会社が決めた金融機関で変更できませんので、そこで運用するしかありませんが、個人型の場合は自分で選べますので、始めるときによく考えましょう。運用商品の種類が多ければ、必ずしも良いというわけではありませんが、将来の選択肢は多い方が良いと思います。

将来的に大きな税金がかかる可能性がある

将来的に最大のネックとなる可能性があるのが、特別法人税です。これは積立金に対して毎年1.173%の税金がかかるというものですが、現在は課税が凍結されていますのでかかっていません。(2020年3月までの予定)
これは意外と大きいです。例えば積立金が100万円あるとした場合、毎年¥11,730も税金が取られるという事になります。仮に全て元本確保型の商品で運用していた場合、金利が0.02%だとすると100万円預けても、年間で¥200しか増えません。それなのに¥11,730も税金で引かれてしまうと、運用だけで考えると大幅にマイナスになります。所得控除のメリットはありますので、その分だけ考えてもメリットは有りますが、確定拠出年金本来の自分で自分の資産を運用するという観点からみると、運用は常にマイナスしているというイメージになります。

受け取る時に税金がかかるかも

受け取る時には税金が発生します。(雑所得、退職所得)
積み立てるときには、いろいろ税金の優遇があって、税金がかからないイメージだと思いますが、受け取る時には、それほど多くはならないと思いますが、所得税がかかります。非課税の制度のようなイメージがあるかもしれませんが、正確に言うと税の繰り延べになります。今、払うはずの税金を将来負担するような状態です。こちらに関してはやり方によっては、税金がかからない受け取り方や、少なくて済む場合も多いと思いますので、そんなに大きなデメリットではありませんが、完全に非課税の制度ではないという事を覚えておいてください。

自分で育てる自分の年金、明るい未来を作りましょう!

いろいろと書きましたが、実際には多くの方にとっては、かなりメリットのある制度だと思います。将来の資金が心配な方は、ぜひ加入を検討してみてください。
次回、実際の運用について書きますので、そちらもご参考にしていただければと思います。

2017年9月

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