社会で生きていくうえで、未来のケガや病気に備える医療保険。
私が子どものころ、両親の会社の保険や、共済保険などに予め加入させてもらっていた。
運動部に入っていた学生時代では、大会に参加する前に怪我などに備えた保険に入り、その期間中の保障を持った。
自分で遠くに移動することができるようになると、レンタカーを借りるときの保険、旅行の際の保険など
医療にかかわらず身体に関する保険に短期間的に加入したものである。
必要な時に保証が出る保険は、万が一の場合に備えておくべきものである。
しかし、病気やケガはいつ起こるかわからない。
医療保険には早めに入っておいたほうがいいとは言われているが、
もし全くケガも病気もしなければ保険料を日々支払っていくのみとなる。
変な話ではあるが、健康であればあるほど医療保険に入る意味は、無いということだ。
だが万が一、本当にケガや病気にかかってしまったら、そのあとに保険に入ることは難しいのである。
リスクのある人は保険に入るときにそれ相応の対価を支払う。
保険料が高くなるのだ。
そう考えると、医療保険に入るタイミングは、いつが良いのだろうか?
今回はその、医療保険にいつ入るべきなのかについて考えていきたい。
医療保険は不測の事態に備えるために
医療保険とは、病気やケガをした場合に備えて入る保険だ。
多くの保険会社が医療保険を販売しているが、保証内容や保険料は性別・年齢によってもこれまた様々である。
ただ、一貫して言えることは、年齢が上がるごとに保険料が上がることである。
それは、ケガや病気にかかるリスクが、年齢が上がれば上がるほど大きくなっていくからである。
そのように考えると、やはり年齢の若いうちに医療保険に入っておく方が良さそうだ。
これが「若くて健康なうちに医療保険に入っておいた方がいいですよ」という保険販売側の売り文句の所以である。
そこでもう少し深堀してみよう。
医療保険に早めに入るべき理由
理由① 保険料の払込の総額が安くなるから
本当に、医療保険は若年のうちに入るべきなのか。
基本的に、医療保険は掛け捨てと言って、保険料を支払っていくのみで、貯蓄されることも還付されることもない。
一部保険会社では貯蓄制度も備わっているので、今回は掛け捨てのみで考えていきたい。
掛け捨てということは、ケガや病気になにもかからなければ、保険料は支払っていくのみということになる。
毎月毎月、毎年毎年、嵩んでいく保険料はいくらになっていくのか。
そこで、ある保険会社(2社)の医療保険の保険料について、30歳から保険に入った場合と、同様に40歳・50歳から保険に入った場合の保険料払込の総額を計算し、合計額を見やすいようにグラフ化してみた。
すると、性別の違いでグラフの形に違いがみられた。
まず男性について話すと、保険会社によって多少の違いはあるが、60歳以降65歳未満の年齢で保険料の払込総額が逆転していくようである。
30歳から保険に加入し、保険料を払っていくと、70歳になる前に保険料払込総額は最も少なくなっている。
50歳から保険に加入し、保険料を払っていくと、約65歳までは保険料払込総額は最も低いが、70歳以降に逆転し、最も多く払うようになる。
現代の男性の平均余命は81歳であり、それまで保険料をずっと払っていくとなると、やはり医療保険は早めに入っておくべきと言えそうである。
それでは女性についてはどうなるのであろうか。
男性と同じような保険料のグラフになると思っていたが、実際はそうではなかった。
男性では、生涯の保険料払込総額が最も低いものは30歳からの保険であったのに対し、女性では40歳からの保険ということになった。
そして、保険料払込総額が逆転する点も男性よりも遅く訪れ、70歳代後半から起こるようになっている。
50歳から保険に加入する場合が総額的には最も多いということになり、次に30歳、40歳ということになった。
保険料払込総額の逆転が高齢に起こる理由の一つとして、女性の平均余命が挙げられる。
女性は男性よりも長生きで、現在の平均余命が87歳である。
この長い生活を保障するとなると、保険料が高くなるのではないだろうか。
また、40歳からの保険加入が、保険料払込総額的に最も低くなったのは、出産のリスクが減るからであろう。
女性は30歳代までが出産のピークである。
通常出産では医療保険の対象になることはほとんどないが、帝王切開等で手術をした場合は、医療保険から給付がもらえる。
医療保険は、女性限定の商品があるように、性別によって保障内容が異なるものがある。
病気へのなりやすさ、出産の有無によって、このような男女での保険料の違いが出てきているのであろう。
女性の医療保険にはいるタイミングについては、保険料の払込総額のみで言うと40歳ごろが最も安くなる。
しかし、そうすると働き始めの時期は保証が何もないという事態にもなりかねない。
万が一ケガや病気にかかった場合は、収入や貯金の少ないままに、医療費の出費が嵩んでしまうだろう。
したがって、女性の医療保険にはいるタイミングは、ライフスタイルや家族プランによって、人それぞれだと私は考える。
ちなみに、現代の75歳までの生存率は男性が75%程、女性が90%弱である。
このことからも、医療保険には早めに入っておくべきだと思われる。
理由② 保証期間が長くなるから
医療保険とは、不測のケガや病気に備える保険である。
ケガや病気をした後に医療保険に入っても、そのケガや病気は保証の対象にはならない。
いつ、どこで、どんなケガや病気にかかるか分からないから保険に入るのである。
これは保険制度の最も前提的な部分である。
保険とは、未来の予期せぬ事態に備えて、みんなで少しずつお金を出して、万が一の場合にはみんなでその事態を乗り越えよう、
という考えである。
将来の安心を買う、という意味で、保険には早めに入っておいたほうが良いのではないだろうか。
理由③ 医療保険に入ることができなくなる場合があるから
先程、年齢が上がると保険料が上がると述べた。
保険料は、その医療保険を販売する会社によっても異なる。
そして、医療保険に入る人の健康状態や職業によっても異なってくるのである。
同じ30歳の人でも、健康で病気やケガにかかったことのない人と、持病のある人や手術を受けたことのある人と、保険料が変わるのである。
保険料だけでなく、保険の対象となる体の部位も異なる場合もある。
例えば、がんになってしまった人は医療保険に入ることは難しい。
がんは再発性の高い病気で、病気になるリスクの高い人を保険会社が受け入れることができないからである。
保険会社は、たくさんの人から保険料をもらう時に、一人ひとりの負担する料金が等しくなるように保険料を設定している。
皆が同じくらいがんになるリスクを抱えていて、その中に既にがんになった人がいれば、その人に治療費や手術費を支払う可能性が高くなる。
同じ保険料を払っていれば、既にがんのリスクが高い人が、保険料の支払いよりも給付が多くなり、不公平が生じてしまうのである。
そのような時に、保険会社は医療保険の保険料の引き上げなど行い、バランスをとるのだが、明らかにリスクの高い人は、公平性から医療保険には入らせないのである。
同じように、事務職員と工事現場の作業員が同じ保険に入れるとも限られない。
デスクワークよりも工事現場の仕事の方がケガをするリスクが高いからである。
ケガや病気のリスクが大きくなる前に、保険に入っておいたほうが良いのである。
結論 医療保険に入るべきタイミング
以上のことから、医療保険はリスクの少ない若いうちに、つまり、早めに入っておくべきである。
男性については生涯を通して早めに入るべきだと言える。
女性についても同様だが、30歳代で妊娠・出産を考えている人はその前に入るのか、それとも保険料の支払い総額を考えて40歳ごろに入るのか、あなたの生活とともに考えてほしい。
自分には妊娠・出産でのリスクがあるのか、保険という安心を保有しておきたいかどうか。
今回、結論として「医療保険には早めに入るべき」であるということになったが、医療保険に入るか入らないかの正解はわからない。
あなたの人生がそうであるように、人生に正解はない。
こうしておけば良かった、こうすればもっと良かったかもしれない、という後悔もあれば、
こうしておいて良かった、これのおかげで助かった、という充足感を味わうこともあるであろう。
ただ、私が皆様に思うことは、どのような結論に至ろうと、幸せな笑顔でいてほしい、ということだ。
医療保険に入っていたから病気のときに手術を受けることができた、
医療保険には入っていなかったが、その分貯蓄しておいたお金で家族で助け合って暮らせた、
医療保険を利用する機会はなかったが、安心して暮らすことができた。
未来のあなたの笑顔のために、自分自身の最善の答えを見つけ出していただきたい。
医療保険について考えてみて、今後の課題
今回、個人的に興味のあった保険会社2社について調べてみた。
調査方法としては、パンフレットの保険料から資料をつくることであったのだが、時間はかかるが面白い結果が得られた。
保険会社によって、多少の違いはあるとは予想していたものの、保険会社・商品ごとに特徴があるように思われる。
例えば、女性の方が負担する保険料が割安だとか、保険料の上昇率が異なるだとか。
医療保険を扱う会社はたくさんある。
今後は、保証の内容・保険料との関係について多くの保険会社において調べていきたい。
また、女性の医療保険の場合は特に保険料の変化が独特である。
今回はおおまかに30歳から、40歳から、50歳からという項目で調べてみたが、実際のところ何歳が最も保険料払込総額が安くなるのか、
また、年齢別の妊娠・出産リスクや疾病リスクについても調査する必要があると感じた。
これからも、医療保険に関わらず様々な保険・保障について考えていき、一人ひとりの人生に寄り添った保険について考えていきたい。
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