食品メーカーにお勤め(年収400万円)の正美さんはお母様との二人暮らし。
お兄様は既に結婚して転勤で家族ともども名古屋に住んでいます。
正美さんは年齢より10歳は若く見える小柄な美人ですが気ままな独身生活が
性に合っていて生涯独身で過ごそうかなと考えるそうです。
実家暮らしで家賃がかからない分、同年代の独身女性より将来の貯金もきちんと
出来ていてとても計画性のある女性です。
今回のご相談内容ですが「昨年、母親に初期の乳がんが見つかりました。幸い発見が早く現在は快方に向かっています。自分も今後、がんになった場合に備えて医療保険を手厚くしたいのだけれどどんな保険がよろしいでしょうか」という内容です。
私も両親ともガンになったがんの家系ですので気持ちが良くわかります。
将来に備えて医療保険を増やしたい
正美さんはすでに掛け捨ての医療保険(月払い6,200円)を3年前に加入しています。入院時に日額1万円の給付金がでて、女性特有の病気(乳がん、子宮筋腫など)になると更に5,000円の給付金が出るタイプです。今回はもう一つ医療保険を追加したいとのご希望。毎月の保険料2,000円で入院時に5,000円の給付金が出る保険会社のパンフレットをお持ちでした。
「私も乳がんになったら怖いから今の保障と合わせて1日当たり20,000円の給付金が出れば安心できると思うのですがどう思いますか?」とのご質問です。
一生で払う保険料を計算してみましょう
保険というものは「いっぱい病気になれば得だし元気でいれば損」と言われるのですが正美さんの場合どうでしょうか。
残念ながらご心配している病気になっても元は取れそうにありません。ここで正美さんの生涯保険料を計算してみましょう。
現在支払っている保険料が月々6,200円、年間で74,400円、仮に85歳まで40年間支払ったら総額2,976,000円になります。さらに検討中の医療保険2,000円に新たに加入すると85歳までで合計96万円の保険料。総額で400万円近い保険料になります。
では入院日数はどうでしょうか。乳がんの場合、摘出術をしても入院期間は平均1週間から10日くらいです。10年前と比べて入院日数は半分くらいの期間になっています。つまりあまり入院はしません。2万円給付の医療保険に加入している場合、10日間入院すると2万円×10日で給付は20万円、手術をした場合でも合わせて50万円ほどの給付金しかおりません。
がんに限ってしまえば一生涯で8回(50万円×8=400万円)がんになってやっとトントンです。これでは何のために保険に入っているのかわかりませんね。
入院費用はあまりかかりません
公的健康保険には年齢や収入に応じて1か月あたりの自己負担を一定額に抑える仕組みがあります。これを「高額医療費制度」と言います。仮に月に50万円の入院費用がかかっても正美さんの年収だと最高で1か月辺り84,000円ですんでしまいます。
つまりある程度の預貯金があれば入院費用に関する医療保険は必要ないということになります。
高額医療費制度の注意点
高額医療制度で入院時の費用が何でもかんでも安くなるわけではありません。
食事代、差額ベット代などは含まれませんし、月をまたいで入院をすると翌月は改めて計算されて費用が発生してしまいます。つまり入院される場合は月初に入院して月末までに退院する配慮が効果的です。
正美さんへのアドバイス
正美さんの場合、預貯金もある程度(800万円)あり高額医療費制度を考慮すると手厚い医療保険は必要ありません。ただし、がんに掛かった場合は仕事を辞めざる負えなくなってしまったり、配置転換などで年収が減少してしまう人がとても多いのが現実です。また健康保険対象外の治療方法-例えば免疫療法や遺伝子療法など―などは実費のため高額の治療費がかかります。私の母も免疫療法を受けて250万円(約3か月)程の治療費がかかりました。これをカバーできるとして3大疾病一時金保険というものがあります。がんを始めとする脳卒中、心筋梗塞で一定の状況になると、まとまった金額が支給されるタイプの保険です。最近ではがんで一定の入院期間があれば100万円の一時金が毎年給付されるタイプの保険も出ています。正美さんの場合、現在の保険の給付金を半分の5,000円に抑え、浮いた保険料で3大疾病保障に加入することをお勧めしました。
また昨今、健康寿命が非常に注目されています。これはだれにも頼らずに健康で生きていられる寿命の事です。女性の平均寿命は86歳、健康寿命は73歳です。つまり亡くなるまでの13年間、介護や病気でお金がかかる可能性があるというとです。無駄な保険料を払うのであればこちらに何らかの対策をすることをお伝えいたしました。健康寿命についてはまたの機会でお話しできればと思います。
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