ほうっておいたらもったいない!転退職後の確定拠出年金

皆さんこんにちは。
今回は、最近増加している退職、転職時の企業型確定拠出年金の放置について書いていきます。実際に私のところにご相談にいらっしゃる方の中でも、以前勤めていた会社で企業型確定拠出年金の制度があって、積み立てをしていたが、転職先には制度がなく、どうしたら良いか分からないので、そのまま放置してしまっているというお話をよく聞きます。
もちろんご相談にいらした方には、そのままにしておくのはもったいないので、ぜひ活用しましょうという事でお伝えしていますので、新たに個人型(iDeCo)で積み立てを始められたり運用を始められたりする方が多いです。

確定拠出年金の加入者数は?

企業型確定拠出年金に加入されている方は、これを書いている時点で約650万人、個人型(iDeCo)に加入されている方が約90万人なので、現時点で企業型に加入されている方は、かなりの人数がいることが分かります。

当然確定拠出年金の制度がある会社に勤め続けていれば、何もしなくても自動的に積み立ては継続していきます。
しかし勤めている会社を辞めてしまった場合はどうなるかというと、その後の行先によって大きく変わってきます。

確定拠出年金は転職したらどうなるの?

別の会社に転職して、新しい会社でも企業型確定拠出年金の制度があって、さらに社員全員加入が条件となっている会社に就職した場合、前職と同様に再度企業型確定拠出年金に加入して、そこから同じように積み立てを続けていくことになります。この場合は新しい会社に入った時に、確定拠出年金の移換に関する書類などの提出を求められるので、半ば強制的に手続きをするような形になるため、自分の意志とは関係なく継続することになるのであまり問題は有りません。

問題になってくるのは、それ以外のケースです。
いくつかありますが、新しく入った会社に、企業型確定拠出年金の制度が無い場合、会社を辞めた後、自営業になった場合、専業主婦(夫)になった場合、公務員になった場合です。
この場合は確定拠出年金を続けようと思った場合は、自分で手続きを進めないと継続することができません。
新しい勤め先に確定拠出年金の制度が有っても、任意加入で特に希望しない場合は加入しなくても良いという人も同様になります。

退職後の手続きは?

企業型確定拠出年金の制度がある会社を退職された場合は、退職後に通知が届きます。その後6か月以内に必要な手続きをすれば、個人型確定拠出年金(iDeCo)に移換されて、その後も継続して積み立てや運用をすることが出来ます。

しかしそのまま放っておくと国民年金基金連合会の専用口座に仮預かりという形で資産が移されます。このように放置している人は「自動移換者」と呼ばれます。こちらに移換された場合は、連合会や記録の管理機関に手数料を取られてしまい、継続して預けたままにしておいた場合も運用されないまま少額ですが管理手数料が毎月引かれていくことになるため、徐々に目減りしていきます。
長年放置してしまうと資産がゼロになってしまう事もありえます。

後から気が付いて、個人型の口座に資金を移すことも出来ますが、その場合も個人型確定拠出年金(iDeCo)の手数料に加えて、連合会の口座から資金を移すための手数料もかかりますので、そちらも注意が必要です。

こんなにいる!放置している人

では実際に過去に企業型に加入されていて、転退職後放置してしまっている人はどのくらいいらっしゃるのでしょうか?
これを書いている時点で放置している人はなんと70万人以上もいます。
毎年5月に連合会からそのまま放置している「自動移換者」に対して移換手続きを勧める案内を通知しています。
今年5月から自動移換者対策として、6か月たっても手続きがなかった人が企業型や個人型の口座がある場合、本人の申請が無くても自動的に資金を移せるように改正法が施行されました。5月以降に転職、退職された方に適用されます。

積み立てをしない運用指図者も多数

また個人型口座(iDeCo)に資金を移しても、新たに積み立てをせず、それまでに貯めた資産を運用するだけの「運用指図者」となっている人も50万人以上います。
この場合は、自分でその後の運用は続けられるものの、全額所得控除という確定拠出年金最大の節税メリットが生かせないため、かなりもったいないと思います。

以前は確定拠出年金以外の企業年金等の制度がある会社に転職した場合は、あらたに掛け金を納めることが出来ませんでしたが、2017年1月からはこのケースでも積み立てを続けられるようになりました。

忘れず必ず手続きしましょう!

私のところにご相談にいらっしゃる皆さんも、制度や仕組み、上手な運用方法など、正確に理解してやっていらっしゃる方は少ないように思いますが、正しく活用できれば、老後のための資金を作る方法としてはかなり有効な制度だと思います。

企業型確定拠出年金の制度がある会社から転職、退職された場合は、お手元に通知が届きましたら、ぜひ忘れないうちに早めに手続きをして、早めに個人型確定拠出年金(iDeCo)に移換していただくことを強くお奨めします。

普通預金や定期預金で積み立てをしても、全く増えない超低金利時代のいま、せっかくこれまでに貯めた資金を無駄にしてしまう事が無いように、制度をうまく活用して少しでも老後の安心を広げられると良いですね。

2018年6月

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